この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第27回

斎藤智

雪と麻美は、同い年の30代だった。

同い年ということもあって、麻美とは話もあい、仲良くなっていた。

雪は、30代で、見た目もショートヘアーでほかの生徒よりも大人の女性という感じでかっこ良かった。背丈も長身でスタイルも良い。性格はさばさばしていて男っぽい感じの女性だった。

麻美も、さばさばしていて男っぽい性格だが、雪のほうが、それにさらに輪をかけて男っぽかった。

普段から化粧もほとんどしていない。

麻美もあまり化粧はせずに、ナチュラルメイクだったが、雪の場合は化粧水程度でまったくしていない。会社にも化粧はまったくせずに通っていた。

子どもの頃は、父親の仕事で、東南アジアで暮らしていた。

そのためなのか定かではないが、生まれてから30代の今まで一度もスカートを着たことがなかった。いつもパンツばかりで背も高くスタイルが良いので、余計になんとなく男っぽくかっこ良い女性に見えるのだろう。

麻美も、雪よりは少し低いが、女性としてはかなり背の高い方だ。マリーナ内を二人が並んで歩いていると、けっこう目立っていた。

隆と麻美は、2つ違いで麻美のほうが年上だった。麻美と同い年の雪とも、2つ違うお姉さんだった。

ほかの生徒たちは、自分よりも年下なので、ヨットの操船を教えるときも割と気軽に教えていたが、雪に教えるときは、年上なので少し緊張して、たまに敬語なども使ったりしながら教えていた。

そんな隆に、人の良い雪は、よく自分が年上だということはぜんぜん気にしないで、ヨットの先輩としてほかの生徒たちと同じように気軽に教えてくださいと言ってくれていた。

そうは言われても、隆は、最初のうちは雪さんとさん付けだったりしていたが、次第に雪と呼びつけでほかの生徒たちと同じように扱うようになっていた。雪も、そのほうが隆に気を使ってもらっていない感じで接してもらえている気がして、気が楽だった。

「雪!まだ、もやい結びもできていないのか!?」

ヨットを岸壁に接岸したときに、岸壁のクリートにロープで結ぶのに、雪がもやい結びをうまく出来ずに、グズグズしていると、船の船尾のコクピットでステアリングを握っている隆は、よく雪のことを怒鳴っていた。

隆は、あまりにもフランクになり過ぎて、それを麻美に突っ込まれて、叱られてしまっているときもあるぐらいにまでなっていた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。