この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。
クルージング教室物語
第11回
斎藤智
アメリカ旅行から戻った隆は、通常の生活に戻っていた。
いつも通り、毎朝おきて会社に通う日々を送っていた。
でも、初めて行った外国、アメリカでの体験は、隆の何かを変えてくれたようだった。今までだと、こうなったら良いと思うけど、でも出来そうもないからってあきらめてしまうことが多かった。
その夜の隆も、趣味のインターネットをしていて、こんなサイトがあったら良いと思うのにとひとつのアイデアが浮かんでいた。
今までだったら、あったら良いけど、無いからまあ、いいかってあきらめていたかもしれない。
でも
その夜の隆は、無いなら自分でも作れそうだからそのサイトを作ってみるか、そう思ってパソコンで作ってみた。作り終わったら、疲れてそのまま眠ってしまった。
次の日の朝、
目が覚めて、昨日作ったサイトを見なおしてみると、3人の人が隆の作ったサイトを利用してくれていた。
誰かが使ってくれたんだって思った隆は、朝ちょっと感動していたが、会社に遅れてしまうと我に返って、出社していった。
昼間、会社で仕事をして家に戻ってくると、またサイトを覗いてみると、さらにまた4人が使ってくれていた。
その使ってくれた方たちからのフィードバックを参考に少しサイトを修正してみた。また、新しく隆のサイトを利用してくれた方がいた。
何ヶ月かしてみると、何百万という人々が利用してくれるようにまでなっていた。
そうなってくると、隆一人ではなかなか利用者全員のサポートに手が届かなくなってきた。当然、利用者からの問い合わせがあってもすぐには返事ができない状態が続いていた。
そんなときに隆に声をかけてくれたのは、一番最初に隆の作ったサイトを利用してくれた方だった。
その方が運営を一緒に手伝ってくれるというのだ。ほかにも何人かサポートをしてくれる方々がいた。そして、利用者がどんどん増えてきてくれるに連れて、隆はサイトを会社組織化して、今では東京の一等地に小さいながらも自社ビルを構えるまでになったのだった。
斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。
横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。