海の日

この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第207回

斎藤智

麻美、佳代に雪は、横浜マリーナに先に戻ってきた。

なにしろ、乗っていたヨットが一位でゴールしたのだから、横浜マリーナにも最初に戻ってこれたのだった。

ラッコは、本部艇なので、最後のヨットがゴールするまで戻ってこれない。

麻美たちは、先に戻ったので、横浜マリーナでレース後のパーティーの準備をしていた。

準備をしているうちに、ほかのヨットも一艇ずつ横浜マリーナに戻ってきた。

職員のスタッフは、ヨットが戻ってくる度に、大型クレーンを操作してヨットを上架しなければならないので忙しそうだった。

「手伝いましょう」

麻美たちがパーティーの準備をしていると、後から戻ってきたヨットの乗員たちがやって来て、準備を一緒に手伝ってくれる。

一番最後に戻ってきたのは、最下位のマリオネットとラッコだった。

「お帰りなさい」

麻美が自分のヨットを出迎えた。

「なんだか、お帰りって出迎えてくれる人がいるのっていいな」

「そうだね」

ラッコから降りてきた隆と洋子が話している。

「麻美ちゃん、毎週お出迎えじゃヨットに乗れなくなちゃうじゃない」

「そうよね、私だって乗りたいのに」

麻美が言った。

「隆さんは、おうちで毎日お出迎えしてもらっているじゃん」

香織が、最近結婚した隆に言った。

「ああ、そういえば会社から戻ると、麻美のお母さんにいつもお迎えしてもらってた」

「麻美ちゃんは?」

ルリ子が聞いた。

「私?私は、だって隆と一緒に会社で働いているもの」

麻美が答えた。

ラッコの皆がおしゃべりしていると、気がついたらパーティーがもう始まっていた。

本日のレースの結果を司会が発表していた。

そして今年の総合結果の途中経過も発表している。

「やっぱり、暁さんが総合だと一位なんだね」

「それはそうでしょう」

隆が答えた。

隆たちラッコのメンバーもパーティー会場に行って、置いてあるビールや焼きそばを食べていた。

「おお、隆くん。結婚したんだって」

隆が焼きそばをほおばっていると、ほかのヨットのオーナーからお祝いの声をかけられた。

「麻美ちゃん、結婚式はいつやるんだい?」

「え、結婚式ですか?もう、私もおばさんだし、隆もおじさんだし、結婚式は特にやらないんです」

「あ、いわゆる地味婚ってやつか」

麻美たちが話している。

「麻美ちゃん、結婚式やればいいのに」

ルリ子が、麻美に提案した。

「そういえば、この間、横浜マリーナで結婚式挙げたいって言ってなかった」

「そうね、でも、なんか恥ずかしいよ」

麻美が答えた。

「横浜マリーナで結婚式すればいいのに」

洋子もつぶやいた。

結婚

「今度の三連休はどっか行く?」

洋子が隆に聞いた。

「どうしようか、どこか行こうか?」

隆は、皆に聞いた。

「暁さん、千葉から勝山まで行って、ぐるっと回ってくるんですって」

麻美は、皆に言った。

「暁さんがクルージング行くの?千葉ってどこ?」

隆は、麻美に聞き返した。

「千葉は、あの、浦安とか幕張の先にあるところじゃないかな」

麻美は、隆の質問にあやふやに答えた。

「それはクルージングじゃないよ、レースのことでしょ。なんか千葉の富津から勝山の前にある浮島まで行って、ぐるっと島を回って帰ってくるレースがあるのよ」

雪が、麻美の答えを補足した。

「ああ、そうか」

「そういうレースがあるのね」

雪の補足で、皆は納得していた。

「そういえば、去年は、ラッコは千葉に行って、千葉の海上で、暁さんのことを応援しなかったっけ」

「した、した。あれからもう1年経つのか」

隆は洋子に答えた。

「私、隆みたいに昔からヨットに乗っているわけじゃないし、ヨットのことわからないで話を聞いているから勘違いしちゃうのかな」

麻美は、ちょっと照れ隠しに答えた。

「久しぶりに大島に行きたいな、三連休じゃ短すぎて無理かな」

洋子が言った。

「ああ、大島いいかもね。岡田港ならば、三連休でも行って来れるんじゃないかな」

隆が言った。

「大島行きたい!」

今年からはじめてヨットに乗り始めた香織が言った。

「それじゃ、大島に行こうか」

海の日は、大島の岡田港に行くことになった。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。