この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。
クルージング教室物語
第23回
斎藤智
「おはよう!」
麻美は、先週会ったばかりの生徒たちと横浜マリーナで再会した。
先週のヨット教室は、クラブハウス内の会議室でスタッフに講義を受けただけだったので、今日が実質、生徒たちにとって、初めてのヨットによるセイリングになる。
いつもの日曜日だと、朝、隆と一緒に車で横浜マリーナにやって来て、二人だけでセイリングの準備をして、二人だけでヨットを出しているので、今日は、ほかにも4人も一緒に乗る仲間がいるので、麻美もなんだかわくわくしていた。
まずは、艇庫の中に入っているヨットによじ登って、ヨットを海に出す準備から始める。
横浜マリーナに停泊しているヨットは、1/4ぐらいは、マリーナの目の前の海面にバース、ボート用の駐車場、駐艇場を作って、そこに係留している。残りのヨット、ボートは、すべて陸に揚げて、船台の上に乗せて、マリーナ敷地内のスペースに保管している。
陸上に保管されているヨット、ボートは、雨の日などに汚れないように、一艇、一艇それぞれにプレハブの艇庫が用意されていて、その艇庫内に保管されている。ボート用の艇庫は、表側に大きな扉があって、そこからボートを入れている。ヨット用の艇庫は、ヨットにはマストが付いているので、艇庫の上部にマストが通せる穴が開いており、ヨットを入れるときは、上部の天井が、前の扉と連動して開いて、ヨットを入れた後にまた天井が扉と一緒に閉じるようになっている。ボートは完全に艇庫内に保管されるが、ヨットの場合は、実際にはマストが飛び出ている個所があるため、天井には多少の隙間があった。
隆たちのヨットも陸上の艇庫内に保管していた。
艇庫内にはヨットに上がるためのステップが付いていて、そこからヨットに上がれるようになっている。
「それでは、これからヨットで海に出るので、出るための準備をしましょう」
隆が皆に言った。
隆のヨット、ラッコに配属された生徒たちは、四人とも女性ばかりなので、隆は、先生をしながらちょっと緊張しているようだった。
生徒と同性の麻美が、そんな隆を補助しながら、皆にヨットの艤装について説明した。
斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。
横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。