船内

この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第16回

斎藤智

隆のヨットの船内を初公開だった。

マリーナの船台の上に乗った隆のヨット、ナウティキャットの周りを一周して一通り、外観は確認したので、いよいよ船内、船の中を見てみることになった。

船体の最後部、例の水着で腰かけて足を海面に入れてバタバタさせたら気持ちの良さそうなバルコニーが、船体の中で一段低くなっている。そこに脚立を立てて、まずはバルコニーの上に上がる。

バルコニーからは、デッキに上がれるようにステップが付いているので、そこから船のデッキ上に上がり込んだ。

普通のヨット、多くのクルーザーは、船内に入る入り口は船体後部にあるデッキに付いている。しかし、隆のヨット、ナウティキャットは、船体中央部に天井が高くなった場所があり、そこに船内用の操船スペースがあるのだが、そこの脇、サイド右側にドアが付いていて、そこから船内に入れるようになっている。

多くのクルーザーの入り口はデッキ上に空いた穴のような入り口なのに、ナウティキャットには、ちゃんとしたドアが付いているのだ。これが隆がナウティキャット選んだ理由の一つだった。

ドアを開けて中に入ると、入り口入ってすぐのところにステアリングラット、ハンドルが付いていて、雨の日には船内でも操船できるようになっている。

その左側は、コの字型の大きなサロンになっていて、皆が海を眺めながらくつろげるようになっていた。

ハンドルの左側に船の前方に行くための一段下がった入り口があった。

一段降りてみると、そこの右舷にはガスコンロ、電子レンジ完備のギャレー、キッチンがあった。

その反対側、左舷には、右舷の調理場で作った料理を食べれるダイニングスペースがあった。

さらに、

その前方に行くと、扉が二つあり、左舷横の扉を開けるとトイレになっていた。

前方の扉を開けると、そこは船の最前部でV字型の二人が寝れるベッドスペースがあった。左舷トイレの反対側、右舷には小さなクローゼットも付いていて着替えなどが収まるようになっていた。

もう一回、入り口のメインサロンのあった部屋まで戻ってから、今度は船の後部に行ってみる。

メインサロンの脇を通って、後ろに行くと三段ほど下に降りるステップがあり、そこにあった扉を開くと、そこは船尾の幅いっぱいを利用した広い書斎になっていた。

書斎に入って右側は二人が寝れる大きなダブルベッドになっている。枕元のところには、両脇にちゃんと小さなライトまで付いていた。最後部にはL字型のデスクがあった。デスクには収納式のチェアが付いていた。

入り口入って左舷には、そこにも小さなクローゼットが付いている。クローゼットの手前に扉があった。その扉を開けると、そこはトイレになっていた。こちらのトイレは、床や壁が白木で出来ていた。トイレの前にはヒーター装置が付いていた。

「寒くならないように、ちゃんとヒーターまで付いているんだ」

「ヒーターじゃないよ。サウナだよ」

隆は、麻美に聞かれて答えた。

ナウティキャットはフィンランド製のヨットだけあって、船内にはサウナまで完備しているのだった。

サウナをみた麻美は、ジムに行かなくても、ここに来ればサウナに入れるね、と言ってヨットをサウナ代わりに使おうとしていた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。