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もうひとつの卒業式

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この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第104回

斎藤智

洋子は、レストランからの帰り道、もらった卒業証書の入った筒を放り投げながら歩いていた。

ルリ子や雪も、もらった卒業証書の筒を天高く放り投げては、落ちてくるところをキャッチするのを繰り返しながら、歩いていた。

まるで、アメリカ映画の卒業生たちが、卒業式から退場してきたときのようだった。

「船に帰ったら、ラッコだけの卒業パーティーしようね」

麻美は、横を歩いている佳代に言った。

麻美は、皆に内緒で、今日の卒業式のために、お祝いのケーキを買ってきてあったのだ。

隆の自宅の近くにあるデパートで買ってきたものだった。

「こんばんは」

ラッコのキャビンの中で、ラッコのメンバーだけの小パーティーの準備をしていると、マリオネットのメンバーたちが、ラッコに遊びに来た。

「こんばんは」

ケーキ用に用意していたレモンティーをティーカップに注ぎながら、麻美が返事した。

「じゃーん!」

麻美が、ケーキの箱を開けて、テーブルの上に乗せた。

白いクリームが掛かった丸いケーキの上に、いっぱいフルーツが盛られていた。

「すごい!美味しそう」

皆は、ケーキを見て、歓声を上げた。

「今日は、誰かのお誕生日なのか?」

中野さんは、ケーキを見て聞いた。

「皆のヨット教室の卒業を祝ってのケーキなのよ」

麻美は、答えた。

「坂井さんや松尾さんも、ヨット教室の卒業ですものね」

「え、ありがとう。なんだかラッコの皆さんの生徒さんの卒業に、私たちまで便乗させてもらってしまったみたいな感じで…」

思わぬ人数が増えてしまったために、麻美は、ケーキを人数分に苦労して切り分けていた。人数が多く、一人分のケーキがずいぶん細長くなってしまっていた。

「中野さんは、これを垂らしたほうがいいでしょう?」

麻美は、ケーキと一緒に付け合わせで用意していたレモンティーのうち、中野さんの分には、ウイスキーを数滴たらしてあげていた。

「あ、俺のにも入れて」

「あら、隆も入れるの?めずらしい」

麻美は、あまりお酒を飲まない隆のティーカップにも、ウイスキーを垂らしてあげた。

「もう、それでいい。充分」

「これだけでいいの?これじゃ、ウイスキーの味しないと思うよ」

ほんの一滴だけ垂らしたところで、隆が言ったので、麻美は苦笑した。

城が島観光

隆たちは、次の日の朝早くに起きていた。

今日は、これから三崎から横浜マリーナに戻らなければならないので、朝ごはんを食べ終わったらすぐに、朝から出航しなければならない。

その前に、お散歩を兼ねて、城が島を観光してくるつもりなのだった。日の出と同時に起きて、散歩に出かける準備をしていた。

「まだ眠いね」

「私は、ぜんぜん大丈夫!」

洋子は、ジャージー姿で屈伸をして元気いっぱいに答えていた。

横浜マリーナのハーバースタッフに、杉原君という若者がいた。

彼は、生まれも、育ちも、三浦半島の三崎だった。

大学時代の4年間、地元・三崎のマリーナ、三崎マリンでアルバイトをしていた。卒業後、その経験を活かして、横浜マリーナに就職したのだった。

三崎マリンでアルバイトしていた頃は、台車でヨットやボートを引っ張ったりと肉体労働が中心だったが、横浜マリーナに就職してからは、クラブハウス内の事務所で事務の仕事に徹していた。

それでも、土日で現場作業が忙しくなったときは、現場作業もできるのでよく手伝っていた。

その彼が、今回の横浜マリーナのクルージングイベントの担当スタッフの一人に選ばれた。

「三崎ならば、地元でよく知っているから観光案内しますよ」

杉原君は、イベント当日前から、三崎クルージングのイベント担当スタッフに選ばれて張り切っていた。

ラッコは、横浜マリーナから三崎に来るとき、のんびり、ゆっくりとセイリングしてきたので、三崎に到着するのが遅くなってしまったが、暁などの足の速いヨットやパワーボートは、午後の早い時間には、三崎に到着してしまっていた。

三崎に早くに到着した船の人たちを連れて、杉原君が、横浜マリーナ・城が島観光ツアーを開催していた。

皆を連れて、三崎口から城ケ島大橋を渡って、島内に入って、島の中を巡った。

さすがに、三崎で生まれ育った杉原君だけに、一般の人が知らない海の景色がよく見えるスポットやカニが獲れる穴場の岩場などいろいろな城が島の面白スポットを案内してくれた。

夜のパーティーのときに、麻美は、その話を杉原君から聞いて、いっしょに行きたかったなって思っていたのだ。

その話を、ラッコに戻って来て、隆たちに話すと、それでは明日早起きして、出航前に城が島に行ってこようということになったのだった。

三崎の漁港前から城ケ島までバスが走っているのだが、さすがに隆たちが出かけたときは、朝早すぎて、まだバスが無かった。

「散歩なんだし、のんびり歩いて行こう」

隆たちは、皆でぶらぶらと城ケ島大橋を歩いて渡っていた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

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