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横浜マリーナの沿革

横浜マリーナの沿革

この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第24回

斎藤智

横浜マリーナは、都心からの利便性も良い横浜の中心部にあった。

現在の横浜マリーナは、都心からの利便性も大変に良い横浜の中心部にあるが、設立当初は横浜市金沢区の河川に係留していたヨットのオーナーが集まって、その地でスタートしていた。

その当時から金沢区の沖合、港内には、コンクリートで固められた岩でできた直径10、20メートルぐらいの小さな島があった。昔は、漁船が停泊するための場所に使用されていたのかどうかは定かではないが、現在は、置き忘れられているかのように金沢区の港内にひっそりと浮かんでいた。

この島の周囲は、金網で囲まれていたが、その金網は既に朽ち果てていて、今は金網の残骸しか残っていなかった。

この島の所有は、特に横浜マリーナの所有というわけではなかったが、当時から横浜マリーナのヨットは、午前中のセイリングを終えると、この島に一時停泊し、上陸すると、そこでお昼ごはんを作って食事をしていた。穏やかな港内に浮かんでいることと島の周囲を囲んでいる朽ち果てた金網の残骸部分が、ヨットを停泊するときのロープを結んでおくのにちょうど良く、ヨットの一時停泊場所として最適だった。

「左舷付けで停泊するからよろしく!」

ラッコの舵を握っていた隆が、船の前方でロープを握って、船の停泊に備えている麻美に向かって叫んでいた。

「あの島に停泊してお昼ごはんにするから、隆が船を島に横付けしたら、島に飛び移って、このロープで船を島に結ぶのよ」

麻美が、横に立っている今日初めてヨットに乗った生徒たちに、これからヨットを島に着岸する方法を説明した。

隆の操船でヨットは、島に着岸すると、麻美は慣れた手つきでロープの片方を持ったまま、島に飛び移った。

麻美の持っているロープの反対側はヨットのデッキ上に付いているクリートに結ばれている。

麻美のまねをして、洋子も島に飛び移ると、船が島に衝突しないように、ヨットを押さえていた。ほかの生徒たちも、洋子のまねをしてヨットと島がぶつからないように船を押さえている。

舵を握っていた隆が、舵を離して、船の後部に結ばれたロープを持って島に上陸すると、そのロープを島の金網の残骸に結んだ。

「こういうときに、もやい結びで結ぶんだよ」

隆は、横でロープを結んでいるところを見ていた雪に説明した。

「もやい結びのやり方は覚えている?先週、私と一緒に結んだでしょう?」

麻美がやって来て、ルリ子に聞いた。

ルリ子は、麻美に言われて頷きながら、先週習ったばかりのロープの結び方を一生懸命、頭の中で思い出していた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

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